ゲイカップルノンフィクション作品『リオとタケル』の本と講演の感想

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ノンフィクション作家の中村安希さんの著書『リオとタケル』を皆さんはご存知でしょうか。

著者 中村さんの大学時代の恩師であるリオ先生とタケル先生というゲイカップルについて、アメリカと日本を行き来しながら、彼らの半生に触れ、また中村さん自身が「セクシャリティーとは何か」ということを考え記しているノンフィクションの作品です。

今回は、作品を読んでみた感想と、2月11日に港区立男女平等参画センター主催で行われた著者の講演会にも参加してきましたので、私なりの感想と考えをまとめてみました。

リオとタケルの生き方に勇気づけられた

本を買った当初、LGBTやセクシャリティーに関する本だと思い読み始めたのですが、 ゲイやセクシャリティーということより、まず本の主人公であるリオとタケルが、2人出会う前の話から始まります。

正直、「なぜ、2人のバックグラウンドや経歴についてここまで細かく説明するのだろう」と最初は少し疑問に感じていました。

ただ読み進めていくと、段々とその理由がわかってきます。 それは、彼らが人としてとても魅力的であるということです。

ゲイでない人やLGBTに関心や知識がない人に、ゲイやLGBTについて話をしようとするとき、どうしても予め頭にセットされているステレオタイプ(色眼鏡)でゲイやLGBTのことを考えてしまいがちですが、この本は、まず彼らの生き方や考え方を示すことで、リオとタケルという人間に魅力を感じることができる構成になっていると思いました。

もちろん、セクシャルマイノリティーである故に大変なことや苦難したことも書かれていますが、本を通して一貫しているのは、彼らは昔も今もとても幸せであるということです。

これまでのゲイやLGBTの書籍というと、「LGBTでも、幸せになることはできるんだよ」というような励ましのメッセージが強かった気がしますが、この本は、「今とても幸せで、LGBTだけど何か?」と言った逆説的な印象を受けました。

つまり、セクシャリティーというものが、「幸せ」になれるかどうかの決定打ではなく、顔や性格がみんな違うように、違いの一つにしか過ぎないことであるということを感じました。

ジェンダーロールと、そこから外れることへの許容

講演では、中村さん自身のセクシャリティーについて触れながら、セクシャリティーの一般概念についてもわかりやすい説明をしていました。

その中で、「ジェンダーロール」についての話がありました。

ジェンダーロールとは、性別によっての社会で慣習化されている役割のことで、「男の役割」や「女らしい振る舞い」と言った言葉で話されるようなことが、まさに日本のジェンダーロールと言えます。

一方でジェンダーフリーという考え方は、性別によって役割や行動様式に違いを持たず、自分の生き方を自己決定できるようにする考えです。

日本のジェンダーロールは、多くの人々が経験したことが積み重なって慣習化(ロールモデル化)したものなので、これがあることに疑問は感じませんが、 中村さんが講演の中で話されていたのは、「ジェンダーロールから外れることへの許容が必要」ということでした。

例えば、「女子の制服はスカートが多いけど、別にズボンを穿く人がいてもいいんじゃない?」という考え方です。

ジェンダーロールについて考えてみると、皆さんも「男なんだからこうあるべき」という言葉を一度は言われた経験をお持ちではないでしょうか。

私も幼稚園の時に、「男の子は、大工さんとかスポーツ選手が夢であることが普通」ということを周りの人から言われ、本当にケーキ屋さんになりたかったのに、「大工になることが僕の夢です。」と言ったことがあります。

もし、本当に大工さんになりたかったらそれはそれでいいのですが、ジェンダーロールから外れたときに許容してもらえないだろうという考えともとに、幼いながら嘘をついたのだと思います。

人間はどうしても多数の考えや行動が一般化されがちで、特に日本は「集団行動」が多い文化なので、なおさらこの一面が強いのですが、ロールモデルから外れることへの許容ができれば、日本のいいところを残しながらも、新しい文化をつくっていけるかなと思いました。

まとめ

今回、中村さんの本と講演と通じて、今一度、セクシャリティーについて見つめなおす機会を持つことができ、ポジティブな気持ちでゲイとして生きていこうと思えたことが僕にとっての一番の収穫でした。

(ちなみに、僕は本を読みながら、2度・3度 涙を流してしまいました。)

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この記事を書いた人

くつロギー

ゲイティーの創設者で、普段はWEBサービスの企画やコンサルティングの仕事をしながら、コツコツとゲイティーを運営している20代アラサーゲイです。

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