映画「リリーのすべて」ゲイ的レビュー・評価

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イギリスのイケメン俳優エディ・レッドメイン主演の映画「リリーのすべて」が3月18日に公開され、早速観てきたので、一人のゲイのとして感じた感想や印象に残ったシーンを、レビュー・評価としてまとめてみました。

ネタバレしている部分もあるので、まだ見られていない方はご注意ください。

主人公が女性かもしれないと意識する瞬間

映画「リリーのすべて」は、エディ・レッドメイン演じる「アイナー・ヴェイナー」という、デンマークのコペンハーゲンで、風景画として才能を高く評価された実在した人物の半生を描いた映画です。

アイナーは、同じく画家の妻「ゲルダ」と一緒に暮らしていて、ある日、ゲルダから「足下のモデルをしてほしい」と頼まれたアイナーは、しぶしぶストッキングとサテンの靴を履いて、白いチュチュを腰に当てて、足のモデルのポーズを取りました。

気恥ずかしい気持ちもありながら、自分の中に潜在的にあった女性の存在を意識するようになるのです。

この瞬間がアイナーが女性かもしれないと意識した瞬間です。
ちなみに、映画のタイトルの「リリー」とは、アイナーの中にいる女性を表している名前です。

私はトランスジェンダーではなくゲイですが、振り返ってみると、まだ学生の頃は、自分の中に沸々と沸き上がる同姓を好きになってしまう気持ちに目を向けようとしない日々が続いていましたが、

ある日、その思いが自分の中に封じ込めていたコップから溢れ出た瞬間が、やっぱりあって、「自分はゲイなんだな」と感じた時があったことを思い出しました。

自身の行動に罪悪感を感じてしまうシーン

この映画では、アイナーの妻であるゲルダとのやり取りやシーンがその大半を占めていますが、自分の夫が、女性として人生を歩み始めようとすることを懸命に支えながらも、夫が自分とは違う人を愛してしまうのではないかという葛藤にかられる心模様が忠実に描かれています。

アイナーがリリーとして他の男性に恋してしまいそうになるとき、そして、ゲルダもアイナーのいない生活の寂しさにアイナーの親友であったハンスとキスを交わした瞬間は、二人とも傷つき、自分の行為を罪悪感を感じている様子に、観ていて胸が苦しくなりました。

恋や愛を超えた人間としての絆

どんなことがあっても、ゲルダは、アイナーがリリーに変わっていく姿を懸命に支えました。そして、リリーもまた、女性になりたいと気持ちが強まる一方、ゲルダを愛する気持ちは変わっていないように感じました

これは、恋や愛の域を超えていて、人と人が、とても深い絆で結ばれているんだなと感じました。そして、ゲルダが、アイナーであっても、リリーであっても、支え続ける姿に心を打たれました。

わたしがわたしであるように生きたいと思う気持ち

映画は、今から約80年前、1930年代の世界を描いています。

今でこそ、LGBTという言葉があり、少しずつではありますが、色々な方々の努力もあって、理解が広がりつつありますが、この時代は、同性愛や性同一性障害という言葉の定義も確立されておらず、

精神病や犯罪といった見方や、人々から好奇な目で見られる存在で、LGBTなど、マイノリティーの人にとって、生きやすい時代とは言えなかったと思います。

それでも、主人公アイナーは、自分の中にいた女性の存在を意識してから、自分が女性で生きたいという気持ちは日に日に増していく姿には、「やっぱり人は、自分が自分であるようにしか生きることができないんだな」と感じました。

そして、まだ当時は世界で行われていたことのなかった性転換手術に果敢に臨む主人公の姿は「自分らしく生きる」ことが容易なことでないことを同時に感じました。

よく私はカミングアウトしているノンケや女性の友人から「生まれ変わってもゲイに生まれたい?」と聞かれますが、私はゲイである自分しかしらないので、ノンケになりたいとか、女性になりたいとか、あまり考えたことはなく、自分の授かった生を全うすることしか正直考えられず、答えに困ることがあります。

ただ、一つ言えるのは、「ノンケだから、女性だから」今抱えている問題がすべて取り除かれるわけではなく、「自分らしく生きる」ということにおいては、どんなセクシュアリティーにおいても、人それぞれの苦労や悩みがあるんだろうなと思います。

エンドロール中、止まらない涙

台詞がそこまで多くない映画なので、映画を見ながら、主人公や妻の気持ちを考える余裕があり、だからこそ、最後のシーンが終わった後、エンドロール中は、涙が止まりませんでした。

割と涙もろい私は映画中に泣くことはよくありますが、エンドロール中に、涙がボロボロと溢れる経験をしたのはこれが初めてでした。

風景の描写がとても美しい

「リリーのすべて」は、ゲイの中でも人気がある映画「レ・ミゼラブル」や「英国王のスピーチ」の監督でも知られるトム・フーパー氏が本作でも監督を務めています。

この映画は、デンマークをはじめ、パリなど、ヨーロッパ各地で撮影をされていますが、風景の描写が本当に心を奪われるほど美しいものでした。

デンマークやパリの街角やアイナーが描いている壮大だけど、どこか寂しげな風景など、どれも表現が緻密で、映像を観ているだけでも心が動かされました。

こうした内容の実話が映画になることで、これまでLGBTの中だけで行われていた議論や活動が、LGBTでない人の目に触れて、トランスジェンダーをはじめ、セクシュアルマイノリティーのことについて考えてもらういい機会になれば、当事者としてもうれしく思います。

映画『リリーのすべて』公式サイト
http://lili-movie.jp/

この記事を書いた人

くつロギー

ゲイティーの創設者で、普段はWEBサービスの企画やコンサルティングの仕事をしながら、コツコツとゲイティーを運営している20代アラサーゲイです。

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