メキシコ・フチタンのゲイが集まるムシェの祭り

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さて、今回はいよいよフチタンでのビッグイベント!
2014年11月、ムシェ達のVELA(お祭り)に参加することができました。

毎年11月に開催されるこのお祭りの正式名称は「GRANDIOSA VELA DE LAS AUTENTICAS INTREPIDAS BUSCADORAS DEL PELIGRO」意訳すると、 「冒険上等、正統派大胆不敵怖いもの知らずの大いなるベラ」!

今年2015年は40回目の節目を迎えるそうです。結構長い歴史であることに驚きました。

また、ムシェが自分たちのことをINTREPIDA(大胆不敵の怖いもの知らず)、 と称しているのがとてもぴったりはまっています。

【1日目】パレード

このお祭りは3日間かけて行われます。 初日は夕方からのRegada de Fruta(訳:フルーツシャワー)と呼ばれるパレードで始まります。

これは着飾ったムシェや地元の人たちが牛車やトラックの荷台に乗って、そこから日用品などを沿道の人々に投げ与えながら町を練り歩くというもの。

かつては季節の果物がシャワーのように投げ与えられていたのでその名がついています。日本の神社やお寺などの節分会で町の名士や有名人がおひねりを投げ与えるのにちょっと似ていますが、メキシコらしいのは投げられる品物がプラスチック製の日用品が多いというところ。

かなり大きなタライやバケツ、子供用のボールや、食器など。町中の人が品物をゲットしようとこのパレードにくっついて一緒に練り歩いていくのです。

投げられる品物は荷台の上から投げる人やその家族がお布施として自ら用意するとのこと。お祭りにかける意気込みが伝わります。

パレードの終点は町のメインの教会。ここに蝋燭(VELA)を奉納します。

【2日目】ミサとメインパーティー

2日目は昼間のミサから始まります。

最近はいろいろ流れが変わってきているようですが、カトリックは同性愛を教義としては認めていません。ムシェもカトリック信者が多いのですが、ムシェを祝福するためのミサが開かれるということは、実はすごいことなのでは・・・と感じます。

そしてこの日の夜は祭りのメインイベントとなるパーティです。夜を徹して音楽と踊りの渦に巻き込まれます。

パーティの最中には今年の女王の戴冠式やこの日のために用意した衣装のお披露目大会が開かれます。

女王は前年のうちから指名されており、この戴冠式までの1年間一生懸命働いてお金を稼ぎ、イベントを盛り上げたりお客様をお招きするために尽力するそうです。

パーティへの参加は飛び入りではできません。会場は10数名の世話役ごとのセクションで参加席が分けられており、世話役からの招待という形での参加になります。

実際には知り合いの知り合いの知り合いという形でも参加はできるので、かなりゆるいのですが。

ドレスコードは女性&ムシェは伝統的な民族衣装かナイトドレス、男性はグアジャベラと呼ばれるシャツに黒いズボンという正装が基本です。

また参加費用も5月の町のVELA同様に独特です。男性はビール一ケース、女性はそれと同等額程度のおひねりを招待してくれた世話役に渡すのがルール。

来場する男性の数だけ(実際ははるかに超える)ビールケースが積まれることになります。ものすごく合理的なのは、パーティ会場として、かのコロナビールの配送センターの広大な敷地を借り切っているという点。

ビールの供給には事欠きません。会場前で調達できるので事前購入の心配は不要なのです。

熱帯気候のフチタンでは、ぬるくなる前に飲み終わるようビール瓶が小さいのが特徴です。そして、踊りながら浴びるようにビールを飲み続けます

パーティには地元はもとより、オアハカ州のほかの町やメキシコ全土、さらには海外からもたくさんの老若男女&ムシェが集まります。

昨年は参加者8000人以上とも。メキシコの飛行場もないような片田舎の町にゲイメインでそれほどの人が集まるというのは大変なことではないでしょうか。

フチタンに住むムシェは普段から女性として生活するのを受け入れられていますが、メキシコのほかの地域から来たムシェの中には普段はムシェであることを表立たせずに生活している人も多く、このパーティではそうした殻を破り「あるがまま」の自分でいられることの喜びを体中で表現しているように感じました。

音楽と踊りは明け方まで続くのですが、終盤になってくると、散乱したビール瓶の山に驚きます。筆者が見た限りでは酔っぱらっての喧嘩やけが人がいなかったのですが、それが奇跡的と思えるような祭りの後の現場です。うわばみたちの宴でもあったのです。

【3日目】後夜祭

3日目、LAVADA DE OLLA(訳:鍋洗い)と呼ばれる後夜祭で祭りはしめくくりです。

前夜よりはゆるいドレスコードのパーティで、世話役や参加者同士でイベントの労をねぎらいます。

この祭りを肌で感じる中、脳裏を巡っていたフレーズが「これでいいのだ!!!」

いろんな在り方があっていい、今ここにある自分を思いっきり肯定できることに、日頃のストレスはすっかり吹き飛んだのでした。

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MEXICO KANKO S.A.DE.C.V. (担当:宮良)

この記事を書いた人

メキシコ観光パートナー企業

宮良 高雄

見た目は日本人、国籍はメキシコ人。メキシコで生まれ、幼少時、日本に9年間住み、現在はメキシコに在住。奥が深いメキシコを少しでも多くの方に知ってもらいたく、日本とメキシコの架け橋になることを目標に日々頑張っています。是非メキシコにいらしてください!きっとイメージが変わることでしょう。

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